知る ~醤油編~

おしょうゆには、日本農林規格(JAS規格)で規定されている3つの製造方式があります。

1、本醸造方式

この方式は、熟した大豆(または脱脂加工大豆)にいって引き割った小麦を混ぜ、それに種こうじを加えて醤油麹を作り、これに食塩水を加えて諸味(もろみ)を作ります。

ときどき攪拌しながら発酵熟成させ、それを搾った液(生揚げ醤油)ができます。 さらに、上に浮かんだ油と底に沈殿した混濁物を取り除いて加熱(火入れと呼ばれます)をします。加熱によって殺菌だけでなく色、味、香りを整えます。

製造期間は6~8ヶ月です。 最近では、火入れ殺菌せず、微細なフィルターで菌を除去する方式を採用するところもあります。

2、混合醸造方式

諸味(もろみ)に大豆(脱脂加工大豆)のたんぱく質を塩酸分解してつくったアミノ酸液(または酵素分解調味液、または発酵分解調味液)を加え熟成させる方式です。
アミノ酸特有のうまみを生かしたおしょうゆです。

3、混合方式

「本醸造しょうゆ」(または混合醸造しょうゆ)に大豆(脱脂加工大豆)のたんぱく質を塩酸分解してつくったアミノ酸液(または酵素分解調味液、または発酵分解調味液)を加えてつくります。
本醸造しょうゆのように、長期の醸造を必要としないため安価にできます。

おしょうゆの種類別品種の主な規格

しょうゆは、法律(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)によって、一定の品質規格(JAS規格)と、品質表示の基準が定められています。これは消費者保護と品質向上のたてまえから制定されたものです。

種類 項目 特級 上級 標準
こいくちしょうゆ 全窒素分 1.50%(容量)以上 1.35%(容量)以上 1.20%(容量)以上
無塩可溶性 16%(容量)以上 14%(容量)以上
固形分
アルコール分 0.8%(容量)以上
うすくちしょうゆ 全窒素分 1.15%(容量)以上 1.05%(容量)以上 0.95%(容量)以上
無塩可溶性 14%(容量)以上 12%(容量)以上
固形分
アルコール分 0.7%(容量)以上
たまりしょうゆ 全窒素分 1.60%(容量)以上 1.40%(容量)以上 1.20%(容量)以上
無塩可溶性 16%(容量)以上 13%(容量)以上
固形分
さいしこみしょうゆ 全窒素分 1.65%(容量)以上 1.50%(容量)以上 1.40%(容量)以上
無塩可溶性 21%(容量)以上 18%(容量)以上
固形分

おしょうゆの原料で脱脂加工大豆とありますが、丸大豆とどのような違いがあるのですか?

 

昔は、醤油の製造に用いる丸のままの大豆(以下丸大豆という)が使用されておりました。 丸大豆には多量の油が含まれており、この油は醤油製造の過程で変化し、 もともとの油とは少し違った油になります。 これが、醤油のもろみをしぼった生揚しょうゆの上に「しょう油」として浮かんできますので、これを取り除き捨てていました。
現在は、丸大豆の油をあらかじめ取り除き、醤油の原料用として加工された大豆すなわち「脱脂加工大豆」と呼ばれるものを使うことが主流となりました。 これにより、丸大豆に含まれている大豆油をあらかじめ取り出すことで、この油を食用油としても有効利用することができるようになりました。
味や香りをどのようにとらえるかは、各人の習慣によってつくられた好みで判断されるのが大きいのですが、一般には、脱脂加工大豆で作られた醤油は、「香りの立つキレのある風味」、「強いうま味」を特長とし、丸大豆を用いて造られた醤油は「まろやかさ」、「重厚な風味」、「深いうま味」が特長であると言い表すことができるでしょう。